起業支援センター

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起業に役立つコラム

「合同会社(日本版LLC)というものを知りました。法人設立において株式会社とどちらがいいのでしょうか?」

たまにこのようなご質問をいただきます。そこで、さまざまな視点から両者の違いをみていくことにしましょう。

  株式会社 合同会社
(日本版LLC)
定款の必要性
〇
〇
公証人の 定款認証
〇
認証手数料5万円
(電子認証の場合)
X
登録免許税
資本金の1000分の7
(最低15万円)
資本金の1000分の7
(最低6万円)
出資者の呼称
株主
社員
会社の代表者
代表取締役 (取締役)
代表社員
(社員)
機関設計
要
自由
最高意思決定機関
株主総会
総社員の同意
責任
有限
有限
構成員
1名
1名
特徴
知名度高
知名度低
 設立時のイニシャルコストという視点

上記の比較表からもわかりますように、株式会社の設立には、最低でも定款認証手数料5万円+登録免許税15万円=計20万円の公的費用がかかります。一方、合同会社(日本版LLC)においては、定款の認証が不要であることと最低登録免許税が6万円であるため、最低公的費用が6万円になります。
設立時のイニシャルコストと言う点では約14万程度開きがあり、合同会社の方がお得ということになります。(注意点:合同会社の場合は定款の認証は不要ですが、定款自身は必要ですので定款の作成という行為は必要です)

 知名度という視点

合同会社は平成18年の新会社法であらたに創設された法人形態であるが故、知名度と言う点ではまだまだ株式会社に劣ると言えます。
株式会社の代表者を代表取締役と呼ぶのに対し、合同会社では代表社員という呼称が用いられています。同様に、出資者の呼称も、株式会社ではお馴染の株主と呼びますが、合同会社では社員という言葉が用いられ、一般的に用いられる従業員(社員)と混同されるケースも多々あるようです。知名度という点では、株式会社に軍配が上がります。

 機関設計という視点

株式会社では 、最高意思決定機関として株主総会、業務執行機関として取締役という機関があります。一方、合同会社では、合同会社の社員の同意に基づいて会社の意思決定を行うため、機関を細かく規定する必要はありません。また、出資比率と違う損益配分も可能です。そういう意味では、合同会社は意思決定における迅速性と自由度が高いと言えます。最近では、大会社では意思決定の利点から合同会社に注目が集められているということを耳にしますが、株主が1人~3人程度の中小零細企業の株式会社においては、意思決定の迅速性と言う意味では、合同会社となんらかわりがありません。つまり、機関設計の自由度や意思決定の迅速性という観点では、中小企業においてはどちらに軍配があがるという判断には至らないように思えます。

 税務面での視点

アメリカにおいてLLCが数多く設立されるようになった大きな理由の一つであるパス・スルー課税というものがあります。これは、法人の所得ではなく、出資者の所得への課税というものですが、米国税法によるものであり、日本では現在のところ合同会社には認められていません。(類似の制度で、パス・スルー課税ができるものとして「有限責任事業組合」(日本版LLP)というものがあります。これは法人ではなく組合という位置づけの組織体です。)
「合同会社の方が、税金がやすくなるのでは?」という誤解が多い点も混乱の要因に1つにあるようですが、日本国内においては、株式会社も合同会社も「法人税」という1つの枠組みのなかでの税法を適用するので、税務面ではまったく同じであると言えます。

◆以上4つの視点で比較して見るとポイントがイニシャルコストと知名度の2つに集約できることがわかります。自分の事業を見た時に、イニシャルコストコスト(設立初期費用)に重点を置くか、長期的な営業活動に必要な知名度に重点を置くかの2点を比較して判断してみてはいかがでしょうか?